「助けてくれたのだって、男だったんでしょ?」


真由にそう聞かれて、あたしは黙り込んでしまった。


真由には啓太郎の名前は伝えていない。


偶然気が付いた人が助けてくれたとだけ、伝えていた。


あの後啓太郎がどうなったのか、気になるけれど、知りたくなかった。


「優しい人も沢山いるよ?」


真由がそう言って、あたしの肩を叩いたのだった。