桜井君の冴えない顔があそこまでカッコよくなっても不思議じゃなかった。


でも、あのタイミングでいきなり告白のようなものをされるとは、思ってもいなかった。


今までも気が付いたら近くにいたりしたから、もしかしたらあたしのことが好きなのかもしれない。


そう考えると悪い気はしなかった。


だけど残念。


あたしの心は博正一筋だ。


桜井君が本当にあれほどカッコよくなったなら、その時は心が揺らぐかもしれないけれど。


「って、そんなことあり得ないから」


あたしは自分に突っ込みを入れて笑ったのだった。