☆☆☆

教室に到着して室内を見回してみても、リナの姿はなかった。


「あれ、リナのやついねぇじゃん」


「本当だね。どうしたんだろう」


今朝のことと言い、少し気にかかる。


「おはよう2人とも~」


席へ向かう途中、友人の浮田沙良(ウキタ サラ)に声をかけられて足を止めた。


沙良は同級生とは思えないほど大人びていて、密かに思いを寄せている男子生徒も多数いるらしい。


学校のマドンナ的な子だった。


「おはよう沙良。ねぇ、リナ見なかった?」


「リナ? まだ来てないみたいだよ?」


「そうなんだ……」


「どうしたの、リナに用事でもあった?」


首を傾げてそう聞いてくる沙良に、あたしは左右に首を振った。


「ううん。なんでもない」


そう返事をして、自分の机に向かったのだった。