そんなとき、ミホコが会計をしにレジにやってきた。


新人が頬を赤らめてミホコを見つめている。


「秋夜、あの子のことずっと見てるね」


レジに置かれた紅茶を袋詰めしている時、ミホコがそう声をかけて来た。


「別に、そんなことはないけど」


そう言ったけれど、長い付き合いのミホコを誤魔化す事はできなかった。


ミホコは俺を見てクスッと笑うと「声、かけてみれば?」と、言って来た。


「なに言ってんだよ。俺バイト中だぞ」


「じゃぁ、あたしが話しかけてきてあげるね」


ミホコはそう言うと、買い物袋を持ってさっさレジを離れてしまった。


「おい!」


と、声をかけたもののレジにはお客さんが並んでいて、ミホコを追いかけることもできなかった。


お客さんのレジ対応をしながら横目でチラチラと2人の様子を確認していると、彼女がミホコの方を見てほほ笑んでいるのがわかった。