タケトの両親がこの村へ来たのは翌日のことだった。


俺から電話を受けてすぐに電車に飛び乗って来たらしい。


途中から終電で電車が止まってしまったので、そこからは歩いたり、タクシーを使ったりして移動してきたのだそうだ。


タケトの両親はとても人当たりの良さそうな、優しそうな顔をした2人だった。


母親の方はとても小柄で、ミホコより少し小さいくらいだった。


そんな2人が目の下にクマを作ってここまで来たんだ。


タケトはこの2人に本当に愛されている。


そう思うと、胸の奥がジンと熱くなった。


俺は民宿の近くの公園で2人に昨日の出来事を説明した。


2人はとても真剣に話を聞いてくれて、タケトと一緒に伸紀も助け出そうと言ってくれた。


「きっと、もう施設に乗り込むことは困難だと思う」


父親が難しそうな顔をしてそう言った。