ミミを家から追い出した後も、気分は最悪だった。


この町に来てから一ミリだって思い出す事がなかったことを、ミミの出現によって思い出されていた。


心は重たく沈み、何をするのもおっくうに感じられる。


そんな気持ちに寄り添うように、外は雨が降りはじめていた。


サラサラと砂が落ちて来るような音から、徐々に激しい音へと変わっていく。


窓の外から庭を確認すると、そこには一本足の日本傘がいた。