演出でもなんでもない、嘉さんの力。 人間じゃなくて神様の力。 その綺麗な光景に少しうっとりしていると、嘉さんが私を見た。 「来い、童。もたもたするな」 もう、だから私の名前は千代だっ――― そう思った次の瞬間、瞬きを一つしたその一瞬。 瞬間移動するように気づけば嘉さんの横で頭を下げていた。 また……なの? 「悪くないな」 口角を上げてどこか嬉しそうな声でそう言うと、私の手首をくっと掴んだ。 「あのっ」 身構える余地もなく、考える暇もない。 慌ただしすぎるんだけど!!