恐怖と戦いながら歩き続けて、どれくらい歩いたんだろう。


気づけば石畳の道を歩いていた。


開けたこの場所は妙に空気が変な感じがして、でもどこか懐かしい。


そんな感覚で辺りを見渡す。


キョロキョロと見渡していると、石垣の階段が現れた。


この階段登ったら、大体の場所分かるかな……


そう思って一段目の階段に足を置く。






――リン、シャン……リン、シャン







さっき聞こえたあの鈴の音が階段の上から聞こえてくる。


そこからはもう一段飛ばしで階段を登る。


近づいてくる鈴の音に何とか歯を食いしばる。


最後の一段を力強く登り切ると同時に、鈴の音が止んだ。



「はあっ……はぁ、はあ……」



額からつぅ……と汗が伝った。


ゆっくりと汗を拭うその手が止まる。


そこにあったのは小さな祠。


ひっそりと隠れるように鳥居の奥に佇んていた。


ゆっくり、ゆっくりとその祠に近づく。


鳥居の前ではしっかりとお辞儀をして。


祠の奥を覗き込むように小さく屈む。



「……お稲荷様……?」



そこにいたのはお稲荷様の御神体だった。