あまりの近さに一歩後ずさるけど、意味はなく。


ぐいっと近づいてきた嘉さんが私の左手を取る。



「どうやらお前の力を使ったら、この糸の力が強まってしまってな。しばらくの間ここに居候させてもらうぞ」


「へっ?!」


「この生活が嫌なら、俺に付き合え。遣い集めはまだ始まったばかりなんだからな」



シュルリと朱色の糸がわざとらしく現れる。


その糸を指に絡めとり、嘉さんがくいっと引っ張ると体制が崩れる。


ぽすんと嘉さんの胸に……また飛び込むと耳元で囁かれる。