軽い足取りで学校へ向かうと、途中で早苗と久志にバッタリ会った。


2人はまだ昨日の傷が目立っていて、見ているだけでも痛々しい。


「蘭は、もう傷大丈夫なの?」


早苗にそう聞かれたので、心苦しく思いながらも「まぁまぁかな」と、適当に返事をしておいた。


まさか天使が治してくれた。


なんて言えない。


2人は傷こそ辛そうだったけれど、そこには笑顔が咲いていた。


自分たちのしたことに自信があり、間違っていないと前を向けているからかもしれない。


教室へ入ると、数人のクラスメートたちが寄って来た。


昨日一緒に楽しい時間を過ごした友人たちだ。


1度その楽しさを感じると、次の日も、また次の日も変わる事のない楽しさを求めるのかもしれない。


「でね、昨日お母さんたらねぇ」


友人が家族の失敗談を語ってみんなで笑っていた時、美鈴と正樹が教室へ入って来た。