「あたしの周りがこんなにグチャグチャだったなんて知らなかった」


「当たり前だろ。みんな1人1人の人間なんだから」


テンちゃんは呆れたようにそう言った。


考え方が違っていて当たり前。


やり方が違っていて当たり前。


そんな中で自分たちの居場所を見つけ、仲間を見つけるのは大変なことなんだ。


「あと、両親への嘘は感心しないな」


「だって学校を休みたかったんだもん」


「仮病はまぁいいとして、本気で心配している人に嘘をつくのはダメだよ」


テンちゃんはお母さんへ向けて言った事を話しているようだ。


「だけどさ、今の状況なんて絶対に言えないでしょ」


「蘭ちゃんがもう死んでいることは確かに言えないけれど、イジメの事は言えるでしょ?」


テンちゃんにそう聞かれて、あたしは返事に困ってしまった。