「そんなの行ってみなきゃわかんないじゃん」


あたしは先ほどと同じ事を繰り返した。


きっと久志が言う通り鍵がかかっていて屋上には出られないだろう。


それでも、登校前にイジメられてお金を奪われて、それで帰って行ってほしくなかった。


屋上じゃなくても、保健室でも、体育館でも、どこでもいい。


こんな姿になってもちゃんと学校へ来る勇気があるんだぞと、知らしめてやりたかった。


そしてそれはきっと、久志の勇気にも繋がると思うんだ。


「なんでそんなに頑ななんだよ」


久志の表情が和らぎ、やがて呆れたように言われた。


「言ったじゃん。自分のためだって」


あたしはそう返事をして久志と2人、下駄箱へと向かったのだった。