「そのあと、もうほとんど意識は薄れてて、蒼くんに連絡を入れたときにはもう間に合わないかもって思った。でも、陽菜ちゃんが来てくれて……また遥輝はあんなに意識をはっきりさせた。これはもう、奇跡としか言いようがないでしょ?」


「それ、ほんとですか……」



だとしたら……



「きっと遥輝は、陽菜ちゃんが来てくれるのを待っていたのね……」



菜々さんの言葉は、あたしの瞳を濡らした。




それから菜々さんと、ハルくんの思い出話をした。

小学校時代のことだけど、とても懐かしく思いがけず話は弾んだ。

あたしも会いに行った愛犬のマロは、今でも元気にしていると聞いてすごくうれしかった。


話していると、いつの間にか悲しいという気持ちは薄れ、久しぶりに体もポカポカと温かくなってくる。




「蒼くんとはね、遥輝が転入した先の小学校で同じクラスになったの」



菜々さんは聞かせてくれた。


蒼とハルくんの出会い。

ハルくんが病気になってから、蒼とどんな時間を過ごしてきたか。

家族のように、一緒にハルくんと闘ってきた蒼のことを。