桜園高校の入学式は4月7日。


その日を迎えれば、陽菜は遥輝と再会できない事実を目の当たりにする。


……遥輝が考えた言い訳を便箋に乗せた俺は心苦しかったが。


遥輝に言われたとおり日付指定をして、俺は手紙を投函した。





入学式の日。


俺は朝早くから駅でずっと人の波を追っていた。


……陽菜を探すために。



今ごろ陽菜は、遥輝との再会に胸を躍らせているんだろうか。


……罪悪感が胸を突き刺す。




「わ~、桜がきれいだねー!」


「ほんとだあーーー!」



明るい声ではしゃぐふたり組の女子を見つけ、ハッとする。



……陽菜?



写真の頃から3年経ち、すぐにわかるのか不安もあったが。


見た瞬間、確信した。


桜に生えるような、ふわふわとした柔らかい笑顔。


写真の頃より少し大人びていて、少し化粧もしているかもしれない。


それでも、写真の面影をハッキリ残した女の子が今、俺の前を通り過ぎた。