こくおうさまのすきなひと

その夜は、かなり遅くになってからだったが、約束通り国王様はやって来た。

ちょうど寝付くか寝付かないか、うつらうつらとしていた時、国王様は隣に横になって、私の手を握る。

国王様の大きな手に包まれ、とても居心地が良くて一気に睡魔が遅い、やがて意識を手放した。


やはりその日も、夢か現実か。

私の名を愛おしそうに呼ぶ声が聞こえる。



それがとても嬉しくて……。


いつの間にか、国王様と共に寝る事を苦痛とは思わなくなっていた。





それから4日経ち、夜会の日を迎える。


この一週間、いつ争いが起こるのだろうかと不安な毎日を過ごしていて、正直、夜会の事は気にも留めていなかった。


開催当日の朝、国王様に改めて言われて思い出したくらいで。


私は慌てて、持ってきていたマナーの本を読み返す。


王女という立場ゆえ、しっかりと教え込まれてはいるけれど、夜会でのマナーに関しては、これまであまり参加してこなかったこともあり、あやふやな部分がある。


王妃になって初めて公の場に姿を見せる事になるわけだから、余計に気を遣わなくてはならない。


私の行動ひとつで、国が危うくなる可能性も大いにあるからだ。


夜会の支度が行われるギリギリまで、本に目を通す。

国王様がいらっしゃったら、この国独自のマナーもあるだろうから、それも確認しないと。

ああそれと、ダンスはちゃんと踊れるかしら。

少なからず練習は王女の時にやってはいたけれど、最近はステップすら踏んでいない。


こんな事なら、もう少し早くに気付いて復習しておくべきだったわ……。