そう書き終えた後、ペンを静かに置いた。
軽く息を吐き、ゆらゆらと揺らめく蝋燭の火を、じっと見つめた。
私の願いは、この蝋燭の炎よりも小さいものかもしれない。
私が願った所で、どうにもならないのは、良く分かっている。
けれど、それでも願わずにはいられなかった。
私の愛する国。
私の愛する家族。
願わくば、このまま何事もなく終わってくれればいい。
そう、心の中で強く思う。
――ガチャリ。
扉の開く音が聞こえ、ハッと我に返る。
振り向くと、暗くてあまり姿はハッキリとは見えないが、扉が開いた先に国王様が立っていた。
「どうした、このような遅くに。もう寝ているものだと思っていたが」
「……アルス様」