身体を起こし、机に置かれた燭台の蝋燭に火を付ける。

ナイトドレス一着では肌寒く、ハンガーに掛けられたガウンを取り、羽織る。

そして机の引き出しから、紙とペンを取り出すと、机に向かって手紙を書き始めた。



愛する家族への手紙。

本当はある程度落ち着いたら、手紙を書こうと思っていた。


こちらでの生活の事。

国王様の事。

この国のいい所を沢山知ってから、元気で楽しくやっていると、そう手紙には書くつもりだった。



けれど、このような状況になってしまっては、そんな呑気な事など言ってはいられなかった。


それよりも家族の事が、アーネストの事がどうしても気になってしまって、私の状況はともかく、あちらの内情を知りたい内容ばかりになってしまう。



この期に及んでも、願う事しか出来ない不甲斐ない私をどうかお許し下さい。


どうか気持ちを強く、確かに。


神は決して、善を見捨てたりはしないから。


私はどこにいても、アーネストの平和を願っています――