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……寝付けない。

広い寝台の上を何回も寝返りをうち、体勢を変える。

瞳を閉じていても悪い出来事ばかりを想像してしまって、怖くなり目を開けてしまう。



それは国王様からあの話を聞いてしまった、3日前の夜から始まっていた。


国王様はその日から、夫婦の部屋には訪れていない。

話を聞けば毎夜遅くまで、フライムとアーハイムとの国の争いの件での対策に追われているそうだ。

アーネストほどの大きな国が後ろ盾となるのは、とても心強い。

私の国の為にここまでやってくれる国王様には、感謝しても感謝しきれないほどだ。



けれど……。


私の愛する国で戦争が始まる。

のどかで美しい緑あふれる国に、赤い血が流れるのかと思うと、苦しくて仕方ない。


人の死なない戦争なんてない。

必ず双方に死人が出る。


それを考えると、どうしても悲しくて、辛くて、呑気に寝ていられる訳はなかった。