しかし、先程のような私の慌てっぷりに出した笑みではない。

その笑みにはどこかしら不安が混じっていた。


私の心がズキリと痛む。

本当は泣いてしまいたいくらい苦しいだろう。

自国へと戻り、家族の元へと行きたいだろう。


だがそれを隠して、ミネアは私に精一杯に強さを見せる。


これ以上、ミネアには苦しい想いをさせたくはない。

我慢を強いてはいけない。


この国で、心から笑えるように私がミネアを守らねば。

美しい瞳から悲しい涙を零さぬよう、必ずアーネストを守り抜かねば。



ミネアの部屋を出て、廊下で待機していたロバートと共に執務室へと戻った。

それから夜会が行われる日まで、重要機関のトップを集めては、もしもに備えての対策を、より深く練る事となったのである。