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……悩んでいる。

非常に悩んでいる。



ミネアが来てから10日ほどが経った。

少しづつではあるが、たわいのない話を互いに話せるようにはなった。

目を逸らす回数も減ってきたように思う。


しかしながら、相変わらず夫婦の契りは交わしてはいない。

口づけどころか、手さえ握る事が出来ない始末だ。


不甲斐ない結果にロバートは耐えかねて、口うるさく私に話した。


「……ったく、あれだけ舞い上がっていたというのに、結局は何も出来ていないってどういう事ですか、国王!」


「そう責めるな、ロバート。男らしくないのはよく分かっている。だが、いざミネアを前にすると何も出来ないんだ。どうしようもないんだよ」


「なんという純愛……!微笑ましく思えますが、子供でもなし、呑気に構えている場合ではありませんよ!?」


「もうこれ以上何も言うな!そんな事、私が一番良く理解しているし、自分が一番焦っているんだ!本当はもっとミネアを感じたいし、私だけのものにしたいと思っている。けれどミネアの気持ちが分からないままで、彼女に触れるのがとても怖いんだよ!」


「では、それを聞く事から始めませんと……。それすらも聞けないってどれだけ」


「出会ってまだ何日も経ってないのに、好きになると思うか?私じゃあるまいし」


「国王……、それは屁理屈と言うのですよ」


ロバートは呆れたように、ため息を付いた。