コンコン、と扉を叩く音。

ロバートがその音に応えると、扉の向こうから声が返って来る。


「おはようございます。……ミネアございます。お体の具合はいかがでしょう?」


その声にドキリと心臓が跳ねた。

ロバートは急いで扉を開け、一言ミネアと言葉を交わすと、ミネアを部屋へと招き入れた。



アーハイム特有の袖の長いドレス。

ロイヤルブルーのドレスには花の刺繍が施されており、落ち着いた色合いでも華やかに見える。

綺麗に後ろで纏められた髪には金細工の飾りがされ、歩くたびに光に反射して煌く。



――なんて美しいんだ。


あれだけ頭が痛かったというのに、ミネアの姿を見た途端に一瞬で痛みを感じなくなるのだから不思議なものだ。



「アルス様、昨日は相当無理をなさられたみたいでとても心配して、無礼を承知で伺わせて頂いたのです。まだお体の方はお辛いのでしょうか?」


「わ、わざわざすまないな。まだ少し痛む所はあるが徐々に良くなる。心配は無用だ」


「そうですか。それならば安心致しました」


「ミネア、そんなに堅っ苦しく話さなくてもいいのだぞ?普通に話をしてくれ。その、私達は……、夫婦に、なったのだからな」