「……で、ありますから、この場合は国王は、……って国王!」


「……あ?」


「あ?じゃありませんよ!聞いているのですか!?今一番大事な部分をお話していると言うのに!!」


うつらうつらと夢の世界へ旅立とうとする私を、鬼のような形相をしたロバートが無理矢理、現実世界へと引き戻した。


ぼんやりとする頭を左右に振り、今にも閉じてしまいそうな目をこじ開けて、ロバートへ一言「悪い」と謝った。


私が国王になってからは、通常の公務をこなす傍ら、深夜までずっと執務室で机に向かう毎日である。


休憩といったら食事を摂るか厠(かわや)へ行くときぐらいで、後はずっと椅子に座って、この口煩い……、いや父である前国王の側近であったロバートから、国王として必要な教養の全てを叩き込まれている。



確かに今まで逃げていた私が悪い。
それは正直に受け入れよう。


だがしかし、だ。


こうも毎日椅子に座りっぱなしで、ロバートの話を聞くだけの時間は、苦痛以外の何物でもない。


なにか面白い話でも挟んでくれたら少しは気は紛れると言うのに、このロバートは、全くといってユーモアのかけらもない。


つまらない話に、つい意識が飛んでしまいそうになるのだ。