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「お疲れさまでした、ミネア王女……、いえミネア王妃。まさかこんなに着替えをするとは思ってもみませんでした」


全ての儀式を終え、これから私が普段使用するという部屋に案内された私達。


この城で普段着るという動きやすいドレスに着替え、ティアは脱いだドレスを丁寧に畳みながら、少し疲れた表情を浮かべて言った。


「ええ、そうね。ティアも疲れたでしょう?ありがとう」

「いえ。ミネア王妃に比べたら私なんて」

「ねえ、ティア。王妃なんて、とても慣れないわ。その呼び方は二人でいる時は止めて欲しいの。今まで通り、ミネア王女と呼んでくれないかしら?王妃と呼ばれると、緊張して身体が固くなってしまうのよ」


この国の王妃になったからとはいえ、ティアにまでかしこまられてしまうと、心休まる所がない。

せめてティアと二人きりの時は依然と変わらない呼び方で呼んで欲しいと思った。

ティアは私のお願いに快く頷いた。


「かしこまりました。ではミネア王女、私はこちらの侍従達との挨拶があるそうなので、行って参ります」


「あらそうなの?気を付けていってらっしゃいね」


軽く一礼をし、部屋から出ていく。

部屋にひとりになり、ようやく肩の力が抜けた。