青い瞳がゆらゆらと揺らぐ。

これ以上アレイズの顔を見ていたら、涙に気付かれてしまうと、横に目線を逸らした。


「もう出発する準備をしないと、約束の日までにあちらに着かない。ミネア、早く食べてしまいなさい」

「これ以上は食べられませんから、このまま部屋へ下がらせて頂きます」

「本当の事を言えよ!!姉さん!」


「アレイズ、いいの。私は大丈夫よ」



アレイズを制止させるように首を横に振って、素早く席を立つと食堂を後にした。


廊下からでも聞こえるアレイズの声とレイラの泣き声。

ズキズキと、胸の痛みは治まるどころか強さを増していく。


「ミネア王女……」


ティアがハンカチを差し出し、心配そうな声で名を呼ぶ。

どうやら気付かないうちに涙を零していたようだ。


「あ、ありがとう。……ダメね、強くならなきゃいけないのに」

「いえ、これまでずっとミネア王女は強くいられたと思います。よく我慢なさられていたと」


「ううん、違うわ。泣く余裕がなかっただけよ」


とにかく隠す事に必死で、ただ泣く暇がなかっただけ。

アレイズ達を悲しませちゃいけないから、いつも通りの自分を作るのに一生懸命で、考えている余裕なんてなかっただけの事。


こうなる事は分かっていたから。

覚悟はしていたけど、やっぱり実際その場面になったらどうしようもなく苦しい。