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――私はミネアを愛している……――


その言葉の意味が、最初分からなかった。

ただ、ずっと聞きたかった言葉だったという事だけは覚えている。


その言葉を聞きたくて、言って欲しくて、けれどいつまでも聞く事が出来なくて悩み、苦しんだ。

そして、国王様の口からは一生聞く事が出来ないものだろうと、諦めていた。


……だけど確かに今、国王様はその言葉を発した。



これは夢じゃない。

曖昧な世界にいる訳じゃない。

頭の上から足のつま先まで、しっかりと感じられる場所に、私はいる。


「あ、るすさま……」

その名を呼んだら、一気に涙が溢れてしまった。


名前を呼ぶ事すら、嬉しくなって、愛おしいという想いが零れてきて。

自分ではどうしようも出来ないくらいに、胸が高鳴る。


「ミネア……」

国王様は切なそうな表情を向けて、私の名を呼んだ。

なんとなく『ごめん』、と言っているように思えた。