「……ティア」

「はい」

「ごめんなさい、少しひとりにしてくれるかしら」


私がそう言うと、ティアは一礼をして部屋を出ていく。

部屋の中でひとりになり、静かな空間の中でまた、つつ、と涙を流した。



ふと、ロア様から言われた言葉を思い出す。



――例えどんな事があっても、何があっても、どうか兄さんを信じてついて行って欲しい――



こんな状況で、どうやって?


あの人には、想う人がいる。

私がどれだけ国王様を信じてついて行っても、お互い苦しむだけじゃない。


信じられない。

けれど、信じなきゃいけない。




「……私が王女でなかったら」


その小さな呟きは、部屋の中に響くことなく、すぐに消え去った。