ティアの表情にふわりと笑みが浮かぶ。

ミネアも心配そうな表情を浮かべていたが、ティアの変化に安堵の表情を見せた。


「かしこまりました。……ありがとうございます。国王様のお言葉、とても嬉しく思います」

「分かってくれたならそれでいい。よろしく頼むな、ティア」


「はい、国王様。……それでは私はこれで失礼いたします。お休みなさいませ、国王様、王妃様」


「お休みなさい、ティア。いい夢を」

「ああ、お休み」



ティアが部屋を後にし、二人きりになった。



その瞬間、ミネアが少し声を出して笑う。

いきなり笑い始めたものだから、私は少し戸惑ってしまった。



「ど、どうした。なにがおかしい?」


「い、いえ。申し訳ありませんアルス様。まさかロバートの事を引き合いに出して、お話されるとは思ってもいなかったもので。確かに容赦ないですね。けれど、ティアも言う時はなかなかですよ?ああ言ってしまってよろしかったのですか?」


「そ、そうなのか?」


「ええ。かなりキツいと思います」


「……大丈夫だ。きっと。……うむ」


「ふふふっ。ではもし困ったら、私に助けを求めて下さいね?私がお守りしますから」



そう言ってまたミネアは口元を手で隠しながら、笑った。

普通の会話をし、そして私の前で自然体で笑う。

こんなに喜ばしく、嬉しい出来事が今まであっただろうか。



少女のように笑うミネアがとても可愛らしくて、抑えていた衝動がどっと溢れ出ていく。

ハッと気付いた頃には、私の胸元へとミネアを引き寄せ抱きしめていた。


「あ、アルス様!?」

「す、すまない、つい。ミネアの気持ちが嬉しかったんだ。……ありがとう」



突然の行動ではあったが、ミネアは拒否しなかった。

その事に、私の心は高揚する。