こくおうさまのすきなひと


セシリアには悪い事をしたと思っている。

少なからずあの時は彼女に興味があった事には間違いないのだから。


しかし、物凄い速さで目まぐるしく変化していく自分の人生に、その時まで持ち合わせていた思いも考えも、全てが真っさらになってしまった。



私が今まで過ごしてきた時とは何だったのだろうと。

これまでの行動が、いかに浅はかであったのかと。



それほどまでに、国王という肩書は私自身を変えるものであった。


全てが言い訳にしかならないかもしれない。


しかしあの時の"アルス"は、もういない。



想いの変わってしまった私に、執着する必要などないんだ。

自ら辛い道を選ばずとも、セシリアにはもっと輝かしい未来があるのだから。




「傷付くのは私だけでいい……、私だけで」



小さな声で、ぼそりと呟く。


その声はすぐに、華やかな音楽と人々の賑やかな声にかき消された。