こくおうさまのすきなひと

大広間へと戻る。

ミネアは椅子に座り、音楽に耳を傾けながらダンスフロアを眺めていた。



その表情は笑顔ではあるがやや固い。


やはり無理をして表情を作っているのだろう。




「ひとりきりにさせてすまなかった、ミネア」



先程の件で動揺しているのを気付かれぬよう、なるべく冷静を装いながら声を掛けると、ミネアの表情が柔らかく緩む。


私がいない間、必死に笑顔を作りこの場にいたのだと、とても申し訳ない気持ちになった。



「気分転換されましたか?アルス様」


「ああ。ミネアは大丈夫か?早めに部屋に戻るのも可能だが、どうする?」


「私も先程少し休みましたので……。私のお披露目の為のパーティーなのに、先に帰ってしまっては失礼になりますから、最後まで参加致しますわ」


「そうか。だが、無理はするなよ?」


「ええ。お気遣い、ありがとうございます」



ミネアはまた私に笑みを向けた後、そのままダンスフロアへと顔を移した。


先程のような固く作られた笑みではなく、自然な表情だ。


奢りかもしれないが、今この国でミネアにその表情を引き出せるのは、私ししかいないと思うと嬉しく感じる。


そして、その笑みを守れるのも私しかいないのだ、と……。



だからこそ、早めに何とかしなくては。