こくおうさまのすきなひと


「み、見ていたのか」

「私を誰だとお思いですか、国王。ミネア王妃に見られなかっただけでも良しとして下さい」


そう言って、私の胸元にあったハンカチをスッと抜いた。

「……あ」


「これを胸元に挿したままお戻りになられる気でしたか?これは後程ラーミア公爵家へお返しします。……ったく、どうしてこうも面倒ばかり増えるのか……」



「……すまない、ロバート」


ロバートは呆れたように、深くため息を付く。

ため息を付くのも仕方ない。
私も出来る事ならため息を吐きたい。

しかし吐いた所でどうにもならないし、ロバートの神経を逆なでするだけだ。

そう思い、何とか堪えた。


「ある程度の対処はしますが、最後のけじめはしっかりとつけて下さいね。ミネア王妃に嫌われたくなければ。……それとも国王は側妃をお望みですか?私は反対はしませんが」


「ロバートまで何を!私はミネアだけでいい!ミネア以外抱く気など微塵もない!!」


必死に答える私に少し安心したのか、ロバートはようやくその時少し私に向けて笑みを零した。

しかし、すぐに表情はいつものものに戻り、大広間へと踵を返す。



「ではこの件は後程。まずは早く戻りましょう。王妃は知り合いのいない中で、大変心細い思いをされておりますから」