こくおうさまのすきなひと

……まずい。

非常にまずい事になった。

よもやセシリアが、そんな風に私を思っていたなんて。



てっきり遊びの範囲だと思っていた。

あの頃のセシリアは、私の言葉や誘いに応えていても、本気の素振りを見せてくる事はなかったから。


お互いが割り切った関係。

それ以上もそれ以下もないと思っていたのに。



「あ、そうか。つまり、側妃志願ってことか」


頭を抱え悩む私に、ロアはひらめいたように言った。






この国では、国王は正妃の他にも妻を娶る事が出来る。


次期後継者となる男児を、正妃との間に成せない場合もあるからだ。


その場合は、正妃ではない他の妻に子を生んでもらう事になる。


それが"側妃"というものだ。


正妃と違うのは、側妃は子を成す為だけのものである事。


そこに妃としての尊厳も威厳もない。

公の場に出る事もほとんどない。

城の一室で、ひたすらに国王が来るのを待ち続けるだけ。



女性にとっては屈辱的かつ苦痛を強いるものであり、今となっては余程の事がない限り側妃を娶る事はほとんどない。


同じような制度を持つ他の国では、側妃という立場を不服に思い、正妃に刃を向けるような事件もあったと言われ、今では側妃を持つ国は、ほとんどと言ってもいいくらい無いに等しい。




そのようなものに、自ら志願するなんて……。