こくおうさまのすきなひと


「そのくらいにしたらどうかな、セシリア嬢。国王になればそう簡単に連絡すら出来なくなるんだからさ。気持ちはよく分かるけど、こればかりはどうしようもないんだよ」


たまらずロアが助け船を出す。

セシリアは眉間に少し皺を寄せたが、すぐに表情を戻した。


「……そうですわね。つい感情的になってしまいましたわ、申し訳ございません」

「い……いや、私が悪いんだ。もっと気を掛けるべきだったな。本当にすまなかった」


それでこの話は終わりだと思った。

セシリアもまた、さほど本気ではなかっただろうと、軽く考えていたから。




――だがセシリアは、思いがけない言葉を放つ。




「――でも、私はまだ諦めておりませんから」


「……――え?」




その言葉に、目を見張る。

セシリアは怪しく笑みを浮かべると、私の胸元のポケットにハンカチを差し込んだ。



「なっ……!」


その行動に、大きく動揺した。


セシリアは私を見上げて、相変わらず笑みを浮かべている。