「なににやけてるの?気持ち悪いよ」

「い、いやちょっと、ある事を思い出していたらつい」


「……もしかして兄さん、まだ姉さんと結ばれてなかったりする?」


ロアの突然の言葉に、思いきり動揺した。


「な、なぜそう思うんだ!そんな訳が……」

「図星だね」


ロアは呆れたように笑う。


どうして分かってしまったのか。

ミネアとは出来るだけ普通に接していたというのに。


「なぜそう思うのか、理由が聞きたい」


「いや、だって常に兄さんが姉さんを見つめる瞳がやけに熱を帯びていたし、その割にはミネアに対する仕草がぎこちないように見えてね。恥ずかしくて触れるのをためらっているような、そんな感じに映ったよ」


「そ、そうか。案外分かりやすいのか……。それは不味いな」


「まあ、俺は弟だからね。余計に変化に気付いてしまうというか。他の人は多分気付いてないよ、大丈夫。それよりも今までそんな奥手な人間じゃなかったのに、珍しいね」


昔から観察力や洞察力に優れていた弟、ちょっとした変化も見逃さない。

どんな嘘をついても、ロアはすぐに見抜いてしまうだろう。

仕方ない、ここは正直に言うしかないか。