「そう。何度か穂月の家に行った事があるけど、リビングには家族写真が沢山飾られてたよ」


奏にそう言われて、あたしはリビングの様子を思い出していた。


ろくに見ていないけれど、確かに写真は飾られていたかもしれない。


「それならなにも不満はないんじゃないか?」


血の繋がりがなくても大切に育ててもらえている。


それは穂月にとってとても幸せな事に違いない。


「それが、穂月が中学に入学する頃からお父さんの会社が傾き始めたんだって。見る見るうちに会社は倒産。その頃から、穂月と司は付き合い始めたんだよ」


父親の会社が倒産した事で穂月の環境も激変したのかもしれない。


司の悪い影響を受けた穂月は、どんどん自分を失っていった。


そう考えるのが自然だった。


「ありがとう奏。今日家に帰って様子を見て見るね」


あたしはそう言ったのだった。