あんなに大好きだった美憂も、自分の中では過去の人になっていて、
今のオレは、美由紀のことばかりを考えている。




藤城が言ったとおり、人間は今いる環境に慣れる生き物だと、オレは身を持って理解した。




藤城にハンマーで骨を砕かれた人差し指は、
今でも、ちゃんと曲げられなかった。




そんなイカれた自分の人差し指を見て、オレは思う。




オレはもっと早く、拷問ゲームで負けを認めるべきだったんだ。




中途半端なオレの偽善が、オレの人差し指を壊してしまった。




オレは正直、後悔していた。




オレはもっと早く、美憂を裏切るべきだったんだ。