「はい、じゃあだいたい終わったみたいなので、書いたカードを本人に渡しましょう」


なんなんだろう、この授業、なんの意味があるわけ? と苛立ちながらも私はカードを手渡していく。


私のもとにも六枚のカードが集まった。

何が書かれているんだろう、と思うと、急にどきどきしてきた。

不安が急速に胸の中で膨れ上がって、動悸がする。


私は細く深呼吸をしてから、カードを一枚、一枚確かめていった。


『しっかり者で周りに気を遣えて、勉強できるのに気取ってなくて、本当にいい人』

『いつもにこにこしてて人当たりがいい。怒ることとか絶対なさそう』

『誰にでも平等に接するところがすごい。嫌いな人とかいないの? いないんだろうな』


ほっとした。

私が求める私がそこにいた。

私はちゃんとみんなの前で私を演じることができている。


でも、安堵感に包まれながら次のカードをめくった瞬間、冷水を浴びせられたような気分になった。


『へらへらしててむかつく』


と殴り書きのような筆致で書かれている。

私は目をあげた。

青磁がろくにカードを読みもせずにぼんやりと頬杖をついて横を向いている。


むかつくって、何よ。

それはこっちの台詞よ。

なんでわざわざこんなこと書いてくるわけ?

最低。ありえない。