「おはよー、茜。青磁は?」


登校してきた男子にも同じように声をかけられる。


「分かんない」

「え? なに喧嘩でもした?」

「いや、だから違うって……」


そんな会話を数人と交わしてげんなりして、いつになった青磁は来るんだろうと時計を見たら、もう朝礼が始まる時間だった。


遅いな、と内心で首をかしげる。

青磁はいつも私と同じくらいの時間には登校してくるので、こんなに遅いのは珍しかった。


先生が教室に入ってきて、朝礼が始まる。

出席確認の時に先生が、


「青磁は今日、休みな」


と言った瞬間、みんなが「えーっ」と声をあげた。

青磁が欠席だなんて初めてのことだった。


「まじで? 青磁が休み?」


と男子の一人が先生に向かって言う。


「おー、休みだと」


と先生が出席簿に書き込みながら頷いた。


「なんでなんで? 風邪?」

「さあな。よし、連絡事項いくぞ」


先生は話を打ち切って来週の期末考査関係の連絡を始めた。

メモをとりながら、私はひっかかりを覚える。


青磁が休み。

その理由については、先生は話をはぐらかしたような気がした。


普通に考えて、ただの体調不良だと思うけれど、やっぱりなんとなく気になる。