あぁ……聞いちゃった。

聞いちゃったよぉ……。




ギュッと目を閉じて待つも、

数秒経っても返事は返ってこない。




あれ、
もしかして聞こえなかったのかな……?




そう思ってうっすらと瞳を開けたのと、

山下くんが口を開いたのは同時だった。






「俺が付き合ってもいいかなって思うのは、笹川さんみたいな人だけだから」




「……えっ…?」




すぐに意味が読み取れない。

それってどういう……





「だから、遠山とは付き合わない」




私から視線を逸らすと、

どこか遠くを見るような目をして

山下くんはそう言った。




「あ……そっ…か」



そうなんだ……。


笹川さんみたいな人。


イコール、可愛くて、おしゃれで、品があって、おしとやかで……


いかにも女の子、みたいな女の子じゃないと山下くんは付き合わないんだ……。




そりゃあ私、除外されるわけだわ……



私は笹川さんみたいな可愛い女の子たちとは真逆だもん……。