目を開けて最初に見たのは、見慣れた部屋の天井だった。

誰かが私の手を握っていて、横へ顔を向ける。


私の手を握ってくれていたのは殿下だった。

それはもう心配そうな顔で私を見つめていて。


私と目が合った時、殿下の目が大きく見開いて、そして安心したような表情を浮かべた。



「・・・ソフィア」

「殿下・・・。私・・・」


「10日程意識が戻らなかったんだ。意識が戻らなければ君の命は危ないと言われていて・・・。でも良かった、目が覚めてくれて」


「・・・そう」


ズキリと傷が痛んで、顔を歪ませる。

その痛みに、私は生きているのだと改めて実感した。


結局、私は死ねなかったのね。


自分がここにいない方がいいと思っていたのに、生きてしまうなんて。


あの夢の中で私を呼ぶ声さえなければ、私は母と同じ世界に行けたのに。

どうして振り返ってしまったんだろう。


何回も同じ夢を見ていたのに、どうして・・・。