すぐに玄関の扉が開いて、ブラウンカラーのセミロングヘアの若い女の人が姿を見せた。

 年齢からして、たぶん入江さんのお姉さんだろう。

 ノーメイクのお姉さんは顔色が悪く、目も赤く充血していて、疲れたように肩を丸めている。

 ……大事な妹を突然亡くして、心の底から悲しんでいるんだ。

 この人の、この悲しみはあたしのせい。

 そう思うと罪悪感がドッと込み上げてきて、まともに顔が見られない。

 あたしは視線を逸らしながら、ぎこちなく頭を下げた。

「わざわざありがとう。さあ、どうぞ」

 お姉さんは静かな声でそう言って、あたしたちを家の中に招き入れてくれた。

「お邪魔します」

 蚊の鳴くような声で挨拶して、緊張しながら玄関で靴を揃えて脱ぎ、無言で廊下を進む。

 そしてすぐ近くの小部屋へと案内された。

 そこは小さな和室で、木製のテーブルと座布団以外は家具がまったくない。

 白い壁と、畳と、襖と、狭い床の間。

 壁際の小さい折り畳みテーブルの上に、位牌がひとつ、ポツンと置かれていた。