商品名『彫刻家の両腕』。


それを見た瞬間、あたしの興味は一瞬にして失わられた。


彫刻に興味を持ったことは今まで一度もなかった。


彫刻を見る機会があっても「すごい」としか感じられなかった。


作品が悪いわけじゃなくて、本当に興味が持てないからその程度の事しか感じられなかったのだ。


スマホをスカートのポケットに戻しかけて、ふと、行くだけ行ってみてもいいかもしれないと思いなおした。


メールを再確認すると、いつもと同じ場所で開催されるらしい。


ここから走って行けば10分もかからない。


あたしは軽くジャンプをして足の感触を確かめた。


大した距離ではないし、全力で走っても大丈夫そうだ。


そう思い、あたしはスタートを切ったのだった。