自分についている足が自分のものではない。


その事実が目の前にあり、すごく不思議な気分だった。


「七島雪歩さんの足……」


そう呟くと、自然と笑顔になった。


ついにあたしも手に入れた。


凡人は持っていない大きな才能を手に入れた!!


それはまるで、ずっと欲しかったオモチャをやっと買ってもらえた子供のような心境だった。


ドキドキワクワクして、今すぐにでも使いたい。


この足でどこまででも走って行きたい。


そんな気分だ。


しかし、今日はあまり足を使うなと言われている。


あたしはそのままベッドに横になった。


明日まで待とう。


明日になれば思う存分走ることができる。


体の一部が変わることで考え方まで変化するのか、あたしは走りたい衝動を抑える事に必死だったのだった。