その後、カメ男はムードも何もなく私にキッパリとこう言い放った。


「来月の梢の誕生日とクリスマスプレゼントは、無しでお願いします」と。


「今回指輪を買って分かった。俺は婚約指輪をナメてた。引越し費用と指輪だけで、きっと冬のボーナス軽く超える」


もちろん「いらないよ」って言ってあげましたとも。
だって婚約指輪の煌めくダイヤがあまりにも素敵で。
他には何もいらないなって本気で思ったから。


「これって何カラット?」

「0.2か、0.3」


なによぅ~曖昧だなぁ~。
でもそんな大きさのダイヤがここにあるのね。
いつまででも見ていられるなぁ。


「あと、梢にもうひとつ頼みがある」

「あら。なんでしょ?」


いつになく真剣なカメ男の顔を見て、私は首をかしげた。


「家具選びは一任する」

「………………」


おいおい、単に面倒くさいだけだな。
それくらい分かるぞ。
面倒なのは全部私に丸投げだな。
こいつはきっと、結婚式とか新婚旅行とか、そういうのも全部私に任せる気なんだ。


望むところだ!


グッと気合いを入れて、「了解~」ってヤツに笑いかけた。








交際期間11ヶ月。


私はカメ男にプロポーズをされました。


そして、その1か月後の12月30日。
私とカメ男の交際ちょうど1年の記念日に、めでたく入籍をしました。