はぁ~っ、と重苦しいため息をついて、ヤツの隣へ駆け寄る。


「週末は今まで通り会おうね」

「うん」

「浮気しちゃダメだよ」

「うん」


お互いに手を握り合う。


「寂しくないの?」

「…………う~ん」

「そっかぁ……。私は不安。寂しくて死んじゃいそう」

「………………」


重い女、っていうでっかい大弾幕があったなら、それをマントにして街を闊歩したっていい。
私はそれほどカメ男のことが好きなんだ。


「寂しくて死ぬならウサギと一緒だね」


こんな時だっていうのに、ヤツはそんなくだらないことを言ってきた。


「それ迷信なんだってよ」

「そうなの?」

「ちゃんと調べてから発言してよね」

「はいはい」


間抜けなことを言うから、こっちの泣きたい気持ちが引っ込んじゃったじゃないか!


どっちにしたって私もカメ男も初めての異動になる。
新しい環境での仕事はストレスだってあるし、今までみたいに週末に会うだけで寂しさを埋めることが出来るだろうか?


私だけが不安がってるみたいで、ちょっと切なかったりして。





私たちは手を繋いだまま、ゆっくりと歩き続けた。