「私はね、世の中に絶望した夜に、一人でここに来たの。

その日も、今日と同じくらい星がきれいだったわ。

私は一人できれいな星を見つめていたの」




浩太は自分のすぐ後ろに、夏希がいるのを感じていた。




浩太は怯えて、振り返ることもせずに、夏希の話に耳を傾けた。




「私はすべてのことから逃げたしたかったの。

だって世の中には、香澄みたいにキラキラした人もいれば、私みたいに何の取り柄もない人もいるから……。

私の家庭はボロボロだった。

愛情もない、お金もない、未来もない……。

私はまだ見ぬ未来から逃げ出したかった。

私は今以上に、悲惨な自分を見たくはなかったから……」