ホームルームが終わり、クラスメイトたちがまばらに教室から出ていくとき、私は和也のところに行き、和也に話しかけた。




「和也、あのね。

私、和也に聞いて欲しいことがあるの」




「聞いて欲しいこと?

それって何?」




「夏希のことなの……」




「また夏希かよ。

もう夏希のことを考えるのはよせよ。

時間は巻き戻せないんだ。

今さら、たくさん悩んでみても、夏希は生き返らないよ」




「和也、違うの。

私が言いたいことは、そういうことじゃないの」




私はそう言って、和也の顔を見つめた。