私が何も考えることもできずに、パトカーが止まる校庭を見つめていたとき、誰かが私の肩をポンと叩いた。




「香澄、オレも驚いたよ。

夏希が急に自殺するなんて……」




私がその声に振り返ると、そこには山本和也が立っていた。




「和也、夏希が自殺しただなんて、私は信じられないよ。

だって夏希は、私に何も言わなかったから……。

死にたいくらい悩んでることがあるなんて……」




「夏希の親父の鉄工所が倒産したんだ。

すごい額の借金があったらしい……」




「だからって、夏希が死ななくても……」




「夏希の親父が自殺したんだ。

倒産した鉄工所の隅で、首を吊って死んでたって……。

今朝、オレもそれを知ったんだ」