〈 夏希、もう止めて! 〉




私は心の中でそう叫んだ。




〈 たしかに私は、絶望なんて知らない。

でも、それっていけないことなの?

私は今ある普通の境遇の中に生きていてはいけないの? 〉




「私は香澄に私の気持ちを知って欲しいの」




夏希はそう言って、私の首を冷たい手で触ってきた。




「私が明るく笑っていたその陰で、どんなにつらい思いをしていたかを……。

私が学校でみんなと別れてから、どんなに悲しい思いをしていたかを……」




夏希の冷たい手は、私の首に絡みつき、私の首をしめつけ始めた。