「もしも私が、香澄なら……。

私のこの言葉に、どれだけの思いが込められているか、香澄にはわかる?

私は何度も何度も、祈るように同じことを思い続けたの。

もしも私が、香澄ならって……」




私は夏希のその言葉に耳を塞ぎたかった。




夏希の心の声が、私の胸をしめつけ、息苦しくなる。




憎しみ混じりの嫉妬の言葉が、私の体を包み込む。




私は悲鳴を上げて、逃げ出したかったけど、私の体は動かなかった。




「絶望って言葉を香澄は知ってる?

私はその言葉の意味を毎日、毎日、思い知らされた。

私の未来は黒一色に染まっていたの」