「香澄、何でここにいるんだよ?」




浩太は私がパスしたバスケットボールを体育館の床に弾ませながら、私に言った。




「帰ろうと思ったら、体育館の電気がついていて、近くまできたら、バスケットボールの音が聞こたから……」




私がそう言ったとき、浩太がスリーポイントラインの外からシュートを放ち、そのシュートはきれいな放物線を描いて、バスケットリングの中に吸い込まれた。




「ナイシュ、浩太。

さすがはうちのチームのシューターね」




私がそう言うと、浩太は振り返って、私に笑顔を見せた。




「今年こそは、全国大会に行きたいからな。

うちのチームも、和也に頼りっぱなしじゃダメだろ?

オレが一本のシュートを決めるかどうかで、三点違うからさ。

オレはどうしても、全国大会に行きたいから……」